マルチバンド解析¶
多色撮像の場合、検出された天体の各 filter での測光が必要になることがあります。 HSC pipeline では各 filter 毎の stack.py による解析で生成された天体カタログをマージして、 マルチバンドで測光し直し、新たにカタログを生成することができます。このマルチバンド解析のコマンドは multiBand.py です。multiBand.py で行われている解析処理の詳細は multiBand.py における処理を理解したい をご覧ください。なお multiBand.py では バッチ処理 が使用できます。
# マルチバンドによるカタログ作成
multiBand.py $home/hsc --calib=$home/hsc/CALIB --rerun=dith_16h_test --id tract=0 filter=HSC-I^HSC-G
# 使い方:
# multiBand.py <解析用ディレクトリ> --calib=<1 次処理用データディレクトリ> --rerun=<rerun名> --id tract=<tract番号> filter=<filter名>
#
# オプション:
# --id :マルチバンド解析で使用するマルチバンドの天体データを指定
# 例では tract 0 番で、filter が I-band と G-band のデータを指定している
# id の指定の際に用いられる ^ マークは & に相当する
multiBand.py では、まず最初に各 filter で検出された天体カタログを集めて天体の位置情報のマージカタログを作成します(mergeDet)。この際、デブレンド(2 つの天体が近接していて重なって見える時にその 2 つの天体を分離するプロセス)も行われます。 mergeDet のマージカタログをもとに各 filter の stack 画像に戻って天体の測光を行います(meas)。 その後、各 filter の meas カタログで得られた天体の位置情報を集め直して、全ての filter で共通の座標情報を持つ天体カタログを作成します(ref)。 この ref カタログの位置情報をもとに天体の測光を filter 毎に改めて行い、forced_src-*.fits という名のカタログが生成されます。 multiBand.py により生成されるカタログデータは以下の通りです。
$home/hsc/rerun/[redrn]/deepCoadd-results/merged/[tract]/[patch]/ 下
- 最初にできる天体の位置情報のマージカタログ :mergeDet-[tract]-[patch].fits
- meas カタログをもとにして生成される天体の位置情報カタログ:ref-[tract]-[patch].fits
$home/hsc/rerun/[rerun]/deepCoadd-results/[filter]/[tract]/[patch]/ 下
- multiBand.py による最終天体カタログ :forced_src-[filter]-[tract]-[patch].fits
- mergeDet-[tract]-[patch].fits をもとに測光した天体カタログ:meas-[filter]-[tract]-[patch].fits
また、これらカタログファイルのスキーマファイル(カラムの参照ファイル)として、$home/hsc/rerun/[redun]/schema 以下に
- forced_src-[filter]-[tract]-[patch].fits のスキーマファイル :deepCoadd_forced_src.fits
- meas-[filter]-[tract]-[patch].fits のスキーマファイル :deepCoadd_meas.fits
- mergeDet-[tract]-[patch].fits のスキーマファイル :deepCoadd_mergeDet.fits
- ref-[tract]-[patch].fits のスキーマファイル :deepCoadd_ref.fits
- mergedDet, meas, ref に共通する天体位置情報のスキーマファイル:deepCoadd_peak.fits
が生成されます。
HSC pipeline における天体の測光は様々なモデルを用いて行われています。例えば、
- ある fixed aperture による測光
- デフォルトでは半径 = [3.0, 4.5, 6.0, 9.0, 12.0, 17.0, 25.0, 35.0, 50.0, 70.0] ピクセルで測定
kron 半径
PSF モデル
C-モデル
などです。詳細は $home/hsc/rerun/[rerun]/config 下の multiband.py か、カタログファイルのカラムをご覧ください(カタログファイルの見方は Pyfits の使い方 参照)。
# カタログファイルのカラムの見方
cat = pyfits.open("~/hsc/rerun/dith_16h_test/deepCoadd-results/HSC-I/0/5,5/forced_src-HSC-I-0-5,5.fits")
cat[1].data
これらカタログ内の測光結果は次の変換式で等級に焼き直すことができます。
m_obs = -2.5 * { log10( カタログのflux値 ) - log10( FLUXMAG0 ) }
# FLUXMAG0 は、$home/hsc/rerun/[rerin]/deepCoadd/[filter]/[tract]/[patch].fits のヘッダー内に記載されている
# HSC pipeline ではどの filter でも
# FLUXMAG0 = 63095734448.0194 ~ 27 mag
# で設定されている