Hyper Suprime-Cam 基本情報

このページでは HSC pipeline を使う上で必要となる HSC の装置に関する情報だけを抜粋して紹介します。 HSC に関する正式な情報はハワイ観測所の HSC ページに掲載していますので、さらに詳しく知りたい方は こちら をご覧ください。


HSC のフィルター

HSC には 5 つの broad-band フィルター(g-, r-, i-, z-, Y-band)と 6 つの narrow-band (NB468, NB515, NB527, NB656, NB816, NB921)フィルターが公開されています (2015年8月現在)。このうち共同利用観測で使用できるフィルターは Call for proposal のページ でご確認ください。

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図1 HSC のフィルター transmission(すばる望遠鏡 HSCページより抜粋)


HSC の CCD の仕様

HSC は、サイエンス用 CCD 104枚、フォーカス用 CCD 8枚、オートガイダー用 CCD 4枚の計 116 枚で構成されています。 HSC 上でのこれら CCD の配置を 図2 に紹介しています。 生データとして出力されるのは全ての CCD データのうち、オートガイダー用以外の CCD 112枚分です。

図2 の各 CCD 上に記載されている数字は各 CCD 固有の ID です。この固有 ID の番号は、生データ時と HSC pipeline での解析時で呼び方が変わります。 各 CCD の上段に書かれている ID は生データ名に使用される CCD ID です。詳しくは HSC で取得される生データ名 をご覧ください。 一方、各 CCD の下段に書かれている ID は解析時に使用される CCD ID です。HSC pipeline を通して生成されるデータにはこちらの数字が各 CCD ID として参照されます。

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図2 HSC の CCD 配置(すばる望遠鏡 HSCページより抜粋し一部改変)

次に各 CCD チップについて紹介します。 1 CCD は 2144 × 4241 ピクセル、4 CH で構成されています。 1 CH は 536 x 4241 ピクセルで構成され、その中にはデータ較正に使われる overscan 領域, prescan 領域、そして最終画像では切り捨てられる非サイエンス領域が含まれています。 最終的にサイエンスで使用できるサイズは 1 CCD 2048 × 4176 ピクセルとなります。

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図3 1 CCD の構造


HSC で取得される生データ名

HSC で取得されるデータは HSC+[A, B, C...]+(8 桁の数字).fits という名前で出力されます。HSC の後に続くのはアルファベット 1 文字です。現在は ‘A’ が割り当てられていますが、将来的には ‘B’, ‘C’ と変化していきます。アルファベット 1 文字に続くのは 8 桁の数字です。8 桁の数字のうち最初の 6 桁は各ショット毎に割り振られる ID で、偶数と奇数の組み合わせになっています。 例えば、HSCA123456**.fits と HSCA123457**.fits と名付けられた生データが 1 ショットの観測で取得されるデータセットとなります。 このうち偶数の 6 桁の ID は HSC pipeline 解析で使用する visit 番号となります。 次に、このショット ID の後ろに続く 2 桁は CCD ID です。CCD ID は 00 から 57 まであります。

図2 の各 CCD 上段に書かれている数字は生データ名用の ID です。 水色と紫の CCD はそれぞれ ショット ID 偶数ショット ID 奇数 が割り振られる CCD です。 アンダーバーの後に書かれている 2 桁の数字が CCD ID を表しています。

例えば、 HSCA12300116.fits という名前の生データがあったとします。 この生データは visit が 123000 、 HSC pipeline での CCD ID が 58 のデータということになります (この CCD は 図2 HSC の真ん中付近にあります)。


データ量

HSC で取得される生データでは、1 ピクセルに 16 bit の整数が格納され、 1 CCD の生データは約 18 MB のデータ量になります。CCD は 112 枚あるので、1 ショットで約 2 GB のデータ量となります。 HSC pipeline を用いて解析を行った後の処理済画像データには 1 ピクセルあたり 32-bit 格納されています。 しかし、このデータには 32-bit の画像と 16-bit の flag 画像データも含まれるため、 最終的に 1 ピクセルの容量は 80-bit にもなります。 生データから HSC pipeline 処理を経た解析データも含め、どの程度のディスク容量が必要になるか以下に概略を記述します。

データ サイズ
生データ 1 CCD 18 MB
生データ 1 ショット 2 GB (112 CCDs)
解析処理済 1 CCD 82 MB
解析処理済 1 ショット 11 GB (104 CCDs)
1 CCD のカタログファイル ~10MB - 30MB
1 ショットのカタログファイル 1-2 GB
1 CCD(生データ+解析処理済データ+カタログ) 100 MB
1 ショット(生データ+解析処理済データ+カタログ) 13 GB