マルチバンド解析

多色撮像の場合、検出された各天体の filter ごとの測光が必要になる場合があります。 coaddDriver.py の最後に filter ごとに生成されたカタログをマージし、そのカタログを元に測光を行い、新たにカタログを生成することができます。 この処理は multiBandDriver.py で実行できます。 マルチバンド解析の詳細については マルチバンド解析の詳細 に記載しています。 hscPipe5以降 では最後に PSF を各フィルタで合わせた測光も行います。

# 解析ディレクトリは ~/HSC, rerun 名は test, マルチバンド解析を行うフィルタを、g, i2, r2 とする。
# local 環境で解析を行う場合。
multiBandDriver.py ~/HSC --calib ~/HSC/CALIB --rerun test --id tract=0 filter=HSC-G^HSC-I2^HSC-R2 --batch-type=smp --cores=8


# multiBandDriver.py [解析ディレクトリ] --calib [calib directory] --rerun [rerun 名] --id tract=[tract] filter=[filter1^filter2^...]
# オプション
#       --id: マルチバンド解析で使用する全天体データを指定。

まず最初に各 filter で検出された天体カタログを集めて天体の位置情報のマージカタログを作成します(mergeDet)。 そして、mergeDet カタログをもとに各 filter の stack 画像に戻って天体の測光を行います(meas)。 この際、デブレンド(複数の天体が近接していて重なって見える時にそれらの天体を分離するプロセス)も行われます。 その後、各 filter の meas カタログで得られた天体の位置情報を集め直して、全ての filter で共通の座標情報を持つ天体カタログを作成します(ref)。 この ref カタログの位置情報をもとに天体の測光を filter 毎に改めて行い、最終測光カタログ (forced_src) が生成されます。 multiBandDriver.py 実行後にできるファイルを以下に示します。

  • 各 filter 毎の det カタログをマージしたカタログ: rerun/[rerun]/deepCoadd-results/merged/[tract]/[patch]/mergeDet-[tract]-[patch].fits

  • mergeDet カタログの天体の位置情報を用いて測光を行った結果: rerun/[rerun]/deepCoadd-results/[filter]/[tract]/[patch]/meas-[filter]-[tract]-[patch].fits

  • mergeDet カタログの天体と外部カタログのマッチリスト: rerun/[rerun]/deepCoadd-results/[filter]/[tract]/[patch]/srcMatch-[filter]-[tract]-[patch].fits

  • 検出天体の測定結果と、マッチした外部カタログ天体の情報がまとまったカタログ: rerun/[rerun]/deepCoadd-results/[filter]/[tract]/[patch]/srcMatchFull-[filter]-[tract]-[patch].fits

  • meas カタログを元にした天体情報カタログ,このカタログを元に最終的な測光が行われる: rerun/[rerun]/deepCoadd-results/merged/[tract]/[patch]/ref-[tract]-[patch].fits

  • 最終測光カタログ: rerun/[rerun]/deepCoadd-results/[filter]/[tract]/[patch]/forced_src-[filter]-[tract]-[patch].fits

これらカタログのスキーマファイルは rerun/[rerun]/schema にあります。

Warning

hscPipe4 で生成されたカタログとカラム名が大きく変更されているので注意して下さい。

マルチバンド解析では以下のような測光が行われています。

  • 固定円アパーチャフラックス・等級
    • base_CircularApertureFlux_[3,4,6,9,12,17,25,35,50,70]_[0,5]_flux (半径 = [3.0, 4.5, 6.0, 9.0, 12.0, 17.0, 25.0, 35.0, 50.0, 70.0] ピクセルで測定)

  • PSF フラックス・等級 (デフォルトの PSFEx でモデル化。点源を測定する際に使われる。)
    • base_PsfFlux_flux

  • CModel フラックス・等級 (Sersic プロファイル n=1 と n=4 の足し合せでフィットを行う。銀河などの広がった天体に使われる。)
    • base_CmodelFlux_flux

  • Kron フラックス・等級
    • base_KronFlux_flux

また、hscPipe5 からは PSF-matched photometry についても実行され、その結果は forced カタログに入っています。 例えば

  • ext_convolved_ConvolvedFlux_seeing: シーイング合わせを行う前の元のシーイング (in sigma)

  • ext_convolved_ConvolvedFlux_[0,1,2,3]_kron_flux: シーイングを [3.5,5.0,6.5,8.0] ピクセルに合わせてから測定した Kron フラックス

  • ext_convolved_ConvolvedFlux_[0,1,2,3]_[3_3,4_5,6_0]_flux: シーイングを [3.5,5.0,6.5,8.0] ピクセルに合わせてから [3.3,4.5,6.0] ピクセルで測定したアパーチャフラックス

FLAGはforcedカタログファイルの中で、flagsという二次元配列に格納されています。 FLAGの対応はfitsヘッダのTFLAGを確認してください。 TFLAG=1から始まっていて、TFLAG=56のFLAGを見たい場合は、例えばastropy等で

>>> from astropy import fits
>>> hdul=fits.open(“forced_*fits”)
>>> hdul[1].data[“flags”][…,56-1]

とするとTFLAG=56のフラグの値を見ることができます。 番号とFLAGの対応は異なる場合があるので、必ず確認してください。

その他カタログにリストされている天体パラメータを知りたい場合はスキーマファイルを確認して下さい。 一例として、 forced_src のスキーマ を一覧にしています。