HSC についての基本情報

HSC (Hyper Suprime-Cam) はすばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラです。104 枚のサイエンス CCD を持ち、視野は 1.8 平方度です。 ここでは HSC の CCD、filter、取得されるデータ名とデータ量について紹介します。 より詳細な情報を確認したい場合は、Subaru Telescope - HSC をご覧ください。


CCD の仕様

HSC はサイエンス用 CCD 104枚、フォーカス用 CCD 8枚、オートガイダー用 CCD 4枚の計 116 枚で構成されています。このうち、生データとして出力されるのはオートガイダー用以外の 112 枚分です。 図1 の各 CCD 上の数字は CCD の固有 ID です。上段が生データに使用される ID で、下段が hscPipe 解析時の CCD ID です。 上段については、デジタル読み出し回路が 2 系統で読まれているため、ID も 2 系統に分かれています。 データ名に関しては下記 データ名について で詳細を記載しています。

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図1：CCD 配置 (すばる望遠鏡 HSCページより抜粋し一部改変)

続いて各チップについて紹介します。図2 が CCD 一枚の構成です。 1 CCD の生データのフォーマットは 2144 x 4241 ピクセルで、4 CH で構成されています。 1 CH は 536 x 4241 ピクセルで、データ較正に使われる overscan 領域, blank 領域、非サイエンス領域が含まれています。 最終的なサイズは 1 CCD で 2048 × 4176 ピクセルになります。

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図2：CCD のフォーマット


HSC の filter について

現在情報が公開されている filter は、5 つの Broad-band filter (g-, r2-, i2-, z-, y-band) と 11 の Narrow-band filter (NB387, NB468, NB515, NB527, NB656, NB718, NB816, NB921, NB926, IB945, NB973) です。 最新情報は こちら を確認して下さい。

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図3：各 filter の transmission (すばる望遠鏡 HSC ページより抜粋)


データ名について

取得された生データには HSC+[A,B,C,…]+(8 桁の数字).fits という名前がつけられています。現在は HSCAxxxxxxxx.fits ですが、将来的には HSCBxxxxxxxx.fits となる予定です。 次に 8 桁の数字ですが、最初の 6 桁は各ショットにあたる番号で、残りの 2 桁は CCD を識別する数字です。 1 ショットに割り振られる番号は連続した偶数と奇数で、例えば、HSCA018200xx.fits と HSCA018201xx.fits のように割り振られます。 このとき、偶数の 6 桁は hscPipe 内で使用される visit 番号になります。 CCD 識別番号 は 0-57 までです。

図1 の各 CCD との対応は、上段の左側の数字が 0 はショット ID 偶数、1 は奇数が割り振られ、アンダースコアの後ろの 2 桁の数字がそれに続く CCD 識別番号 となります。 例えば、HSCA02234904.fits というデータ名だった場合、visit は 22348、CCD 識別番号は 04 (1_04 の CCD に対応) で、hscPipe のデータ解析内で使われる CCD ID は 34 になります。


データサイズについて

HSC で取得される生データでは、1 ピクセルに 16 bit の整数が格納され、1 CCD の生データは約 18 MB のデータ量になります。 CCD は 112 枚あるので、1 ショットで約 2 GB のデータ量になります。 hscPipe を用いて解析を行った後の画像データには 1 ピクセルあたり 32-bit 格納されていますが、このデータには 32-bit の画像と 16-bit の flag 画像データも含まれるため、 最終的に 1 ピクセルの容量は 80-bit になります。 生データから HSC pipeline 処理を経た解析データも含め、どの程度のディスク容量が必要になるか以下に概略を記述します。

データ

サイズ

生データ 1 CCD

18 MB

生データ 1 ショット

2 GB (112 CCDs)

解析済 1 CCD

82 MB

解析済 1 ショット

11 GB (104 CCDs)

1 CCD のカタログファイル

~10MB - 30MB

1 ショットのカタログファイル

1-2 GB

1 CCD（生データ+解析済データ+カタログ)

100 MB

1 ショット（生データ+解析済データ+カタログ)

13 GB

一つのオブジェクトに対して 100 ショット撮った場合、最終的には 1 TB を超えるサイズになりますので、ストレージの容量には充分ご注意下さい。