tract の定義に関する Tips


マルチバンドの tract を合わせて画像の位置情報を一致させたい場合

tract を設定する際に、フィルターによらず全てのデータを選択し makeDiscreteSkyMap.py を実行すれば全ての天体データで共通の tract が定義されます。 この tract 情報をもとに以降の解析を行えば、フィルター間で座標情報が一致した画像が生成されます。 逆に、makeDiscreteSkyMap.py を行う際にマルチバンド解析を行う全ての visit, filter を指定しなければ マルチバンドはうまくいきません。


自分で好きなサイズの patch を定義したい場合

patch のサイズを自身のサイエンスの興味や解析の応じて変更することができます。

例えば、patch size = tract のように、 自身で patch サイズを設定する場合は以下のようにオプションを追加してください。

# patch = tract となるような tract を定義する
makeDiscreteSkyMap.py $home/hsc --calib=$home/hsc/CALIB/ --rerun=test --id field=M31 --config doAppend=True skyMap.patchInnerDimensions="[50000,50000]"

# オプション:
#    --config
#        doAppend=True                              :tract を新たに追加。初めて makeDiscreteSkyMap.py を実行する時は不要
#        skyMap.patchInnerDimensions="[50000,50000]": patch のピクセルサイズを指定。patch = tract になるように非常に大きい値を指定

既に 1 度 makeDiscreteSkyMap.py が実行され tract = 0 が定義されている場合は、 必ず doAppend=True を追加して新しい tract で定義をし直すようにしてください。 また、上記の例のように 1 patch = 1 tract が成功するピクセル数はデータによって異なるため、 いくつか試してみてください。

Warning

1 patch = 1 tract を定義することは可能ですが、 coaddDriver.py においてメモリ不足で warp ができなかったり、 コマンドの実行が遅くなったりする可能性がありますので、ご注意ください。

Warning

tract 内は一つの TAN 投影です。そのため、あまりに広い tract を定義する場合は、 自身のサイエンスに問題がないか注意してください。


座標情報をもとに tract を定義したい場合

makeDiscreteSkyMap.py では tract は観測データをもとに定義されます。 一方で、天球面上をグリッドで切って定義された領域をもとに tract を定義するという方法もあります。 この場合は makeSkyMap.py というコマンドを使用します。 makeSkyMap.py では tract の定義が書き込まれた config file を自身で用意してもらう必要があります。

例えば、overrides.config という config file を用意し makeSkyMap.py を実行した場合を見てみましょう。

# overrides.config というファイルに以下の情報を書き込む
cat overrides.config

===
root.skyMap = "discrete"
root.skyMap["discrete"].raList = [149.9]
root.skyMap["discrete"].decList = [2.3]
root.skyMap["discrete"].radiusList = [0.35]
root.skyMap["discrete"].pixelScale = 0.2
root.skyMap["discrete"].projection = "TAN"
root.skyMap["discrete"].tractOverlap = 0
===


# 自分で用意した config file を読み込んで makeSkyMap.py を実行
makeSkyMap.py $home/hsc --rerun test --configfile overrides.config

# 使い方:
#   makeSkyMap.py <解析用ディレクトリ> --rerun <rerun名> --configfile <config file名>

SSP と同じ tract 定義をしたい場合

makeSkyMap.py をオプションなしで走らせます。

makeSkyMap.py [data reduction directory]  --calib=~HSC/CALIB --rerun [rerun name]