Global sky subtractionについて

hscPipe 6以降ではSKY画像を作成して、それを用いて補正することで、大きな天体周辺のskyを引き過ぎてしまう問題を解消しています(global sky subtraction)。SKY画像はsky backgroundへのカメラのレスポンスに相当します。ConstructSky.pyでSKY画像を作成、skyCorrection.pyで各CCD処理済み画像に対するスカイ補正パターンを求め、coaddDriver.pyで画像を足し合わせる際に画像に反映されます。

Coadd直後は大局的なパターンだけが引かれ局所的なパターンは残ります(deepCoadd/[filter]/[tract]/[patch].fits)。 天体検出の段階で局所的(128px scale)スカイ引きが行われます(deepCoadd-results/[filter]/[tract]/[patch]/calexp*.fits)。 カタログ作成処理はこちらを元に進みます。

Global sky subtractionの処理過程をまとめたものが図1です。

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図1 global sky subtractionによる処理過程

1. スカイパターン作成

まずはConstructSky.pyでSKY 画像を作成します。この過程では直前までの処理過程で作成したBIAS、Dark、Flat、Fringe画像とオブジェクト生画像を用います。処理はバンドごとに行います。 オブジェクトCCD画像に対して通常のフラットフィールドとスカイ引きを行った後、天体をマスクして、ショットごとに異なる大スケールのスカイ(e.g., 月によるもの)を求め、画像から引きます。 それらを平均合成したものがSKY 画像として出力されます。 理想的には各CCD50枚以上、少なくとも20枚以上のオブジェクト画像を使ってください。

2. CORRに対するスカイ補正決定

SingleFrameDriver.pyでオブジェクトCCD画像の処理を行いCORR画像を生成し、位置とフラックススケールを決定したあと、 skyCorrection.pyで各CCD処理済み画像(CORR)に対するスカイ補正パターンを求めます。 CORR画像ではデフォルトでは128pixel binでスカイが引かれていますが、まずこのスカイを引く前に戻し、8192 pixel binで大スケールのスカイ引きを行います。その画像をSKY画像を比較し、SKY画像をスケールし、CORR画像から引くと正しいスカイになるようなスカイパターン補正画像を skyCorr として出力します。

3. スカイ補正の反映

求められたスカイ補正 skyCorr はCoaddDriver.pyで画像を足し合わせる際に画像に反映されます。 global sky subtractionを行わない場合は skycorrection.pyをしないでcoaddDriver.pyを実行する場合 を参考にしてください。 グローバルスカイ引きの効果は図2 およびHSC-SSP pdr2 paperを参照してください。

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図2 global sky subtractionの効果(HSC-SSP PDR2 paperより)。左はg, r, r2, I, i2, z バンドでのSKY。右図は近傍銀河のグローバルスカイ引きなし(HSC-SSP PDR1)、あり(HSC-SSP PDR2)の比較。特に近傍の明るい天体ではより精度よいスカイ引きを行うことができる。