Flat データの作成¶
Flat データはドーム内の壁やスクリーンを光源で照らして観測される ドームフラット と、 天体を観測した画像から作られる night sky フラット があります。 HSC の観測では主にドームフラットを使用しているため、 ここではドームフラットの解析方法を紹介します。night sky フラットの解析については night sky Flat の作成方法 をご覧ください。
Flat データは、ドームフラットデータ(Flat 生データ)から Bias、Dark データと overscan を引くことで生成されます。 HSC pipeline ではまず各 [visit, CCD] 毎に overscan の平均をピクセルのカウント値から差し引いた Flat データを作ります。この各 [visit, CCD] の Flat データの平均から Bias、Dark データを差し引いたものが最終的な Flat データとなります。 HSC pipeline における Flat データ生成は reduceFlat.py で実行されます。
# Flat データの生成
reduceFlat.py $home/hsc --calib=$home/hsc/CALIB --rerun=calib_dith_16h_flat --id visit=902690..902704:2 --detrendId calibVersion=all
# 使い方:
# reduceFlat.py <解析用ディレクトリ> --calib=<較正用データディレクトリ> --rerun=<rerun名> --id visit=<Flat データの visit 番号> --detrendId --detrendId calibVersion=<較正データのバージョン>
Warning
Flat データは filter 毎に作成します。例えば、i-band と r-band の観測をしていた場合は、 i-band と r-band の Flat データをそれぞれ作成してください。
reduceFlat.py が正常に終了すると、以下のデータがそれぞれ生成されます。 最終 Flat データは $home/hsc/CALIB 下に、中間生成データは $home/hsc/rerun/[rerun] 下にそれぞれ生成されています。
- Flat データ :$home/hsc/CALIB/FLAT/[dateObs]/[filter]/[calibVersion]/ 下にある FLAT-[ccd].fits
- 各 [visit, CCD] の overscan 引きの結果画像 :$home/hsc/rerun/[rerun]/[pointing]/[filter]/thumbs/ 下にある oss-[visit]-[ccd].png
- 各 [visit, CCD] の Flat で割った結果画像 :$home/hsc/rerun/[rerun]/[pointing]/[filter]/thumbs/ 下にある flattened-[visit]-[ccd].png
- 各 [visit, CCD] の Flat データ :$home/hsc/rerun/[rerun]/postISRCCD/v[visit]-f[filter]/ 下にある c[ccd].fits
図3 には Flat 生データ(左)と reduceFlat.py で生成された Flat データ(右)を表示しています。 Bias、Dark データと同じく、Flat データ生成時に overscan、prescan 領域が切り捨てられるため Flat データは Flat 生データより一回り小さめです。
Flat データが生成されていることを確認したら、忘れずにレジストリに登録しましょう。
# Flat データをレジストリに登録
genCalibRegistry.py --root=$home/hsc/CALIB --camera=HSC --validity=1000
ここで今回の解析で必要な1 次処理用データは一通り揃いました。そこで、1 次処理用レジストリの中身を確認することにします。
sqlite> .table # table の内容を表示
bias dark flat fringe
sqlite> select * from bias # bias のヘッダー情報を選択
...> group by ccd; # ccd 順に表示
# 以下、検索結果
#
id validStart vali cali filt calibVersion cc
---- ------------- ---- ---- ---- ------------- --
90 2010-09-20 2016-03-12 2013-06-16 NONE all 0
61 2010-09-20 2016-03-12 2013-06-16 NONE all 1
...
図4 のように、生成した Bias、Dark、Flat データの情報が1 次処理用レジストリで確認できれば OK です。 なお、今回は Fringe データの生成は行っていないため、 select * from fringe をしても何も表示されません。