天体データの足し合わせ¶
モザイキングによりフラックススケールと WCS が決定したので、次は複数ショットを足し合わせます。 ここでは、フラックススケールファイルと WCS 座標ファイルを用いて、天球面座標を平面座標に投影したデータを生成し (warp)、観測された全ショットの積分を行います (coadd)。hscPipe では coaddDriver.py というコマンドを使います。 まず mosaic.py で生成された WCS 座標ファイルを用いて warp を行います。 その後、同じく mosaic.py で生成されたフラックススケールファイルを使い、各 [visit, ccd] のフラックススケールを補正し coadd を実行します。 このとき、satellite tail、ゴースト、cosmic ray を除去するために外れ値はクリップされ、CCD ごとに1つの重みを持った weighted mean を取ります。 最後に、sky を引いて (4096 pixels x 4096 pixels メッシュ) 天体を検出しカタログを作成します。 hscPipe4 以前と異なり、PSF がうまくモデル化できていない [visit, ccd] データはカットされ、coadd のプロセスでは外されるようになりました。
coaddDriver.py ではバッチ処理が利用できます。
# 解析ディレクトリは ~/HSC, rerun 名は test とします。
# local 環境で解析を行う場合。
coaddDriver.py ~/HSC --rerun test --id filter=HSC-G tract=0 --selectId visit=18214..18220:2^18224..18230:2 ccd=0..103 --batch-type=smp --cores=8
# coaddDriver.py [解析ディレクトリ] --rerun [rerun 名] --id filter=[filter] tract=[tract] --selectId [visit, field, filter]
# オプション
# --id: 出力データの filter と tract 名を指定。
# --selecteId: 足し合わせる visit を選択。field と filter で選択 (例 field=M33 filter=HSC-G) も可。
検出の閾値はデフォルトで 5σ となっています。–config detectCoaddSources.detection.thresholdValue で値を変更して実行することで閾値を変更できます。
coaddDriver.py を実行するとサイエンスに使用できる coadd 画像が生成されます。以下に生成される画像ファイルをまとめます。
- warp 画像: ~/HSC/rerun/[rerun]/deepCoadd/[filter]/[tract]/[patch]/warp-[filter]-[tract]-[patch]-[visit].fits
- coadd 画像: ~/HSC/rerun/[rerun]/deepCoadd-results/[filter]/[tract]/[patch]/calexp-[filter]-[tract]-[patch].fits
- 天体検出時の sky 引きパターン: ~/HSC/rerun/[rerun]/deepCoadd-results/[filter]/[tract]/[patch]/det_bkgd-[filter]-[tract]-[patch].fits
warp 画像と coadd 画像の例を図 1 に示します。coadd 画像には CORR 画像同様、マスクイメージも含まれています。
全ての [patch]/calexp ファイルを一度に表示させるには、以下のようにします。
# ds9 で全ての coadd 画像を表示
cd ~/HSC/rerun/[rerun]/deepCoadd-results/[filter]/[tract]/[patch]
ds9 -mosaic wcs */calexp-*.fits
# Scale -> Global にすると全体で統一されたスケールで表示。
プロセスの最後の検出天体カタログは以下に生成されます。
- 検出天体カタログ: ~/HSC/rerun/[rerun]/deepCoadd-results/[filter]/[tract]/[patch]/det-[filter]-[tract]-[patch].fits
これは各 filter, tract, patch ごとの検出された天体リストで、測光は行われていません。
Warning
coaddDriver.py は warp 画像が存在する場合、上書きせずに warp プロセスをスキップします。coadd 画像を作り直す場合は古いファイルを移動・削除してから行って下さい。